昨年来、ブログ(ウエブログ)をマーケティングツールとして活用する試みがいろいろ出てきていて、今年はその傾向が加速しそうです。
とは言っても、ブログはここ1〜2年に普及したツールであり、マーケティングで活用するときの特長やクセなどは必ずしも十分理解されているわけではないと思います。一方、最近の新聞や雑誌の記事ではブログのことがよく取り上げられており、広告関係の専門誌(「宣伝会議」とか)などを見ると毎号毎号「ブログを使った何々」、というような話が出てきたりしています。広告業界の人なら、最近お得意さんから「ブログは...」などと話しかけられた人も少なくないのではないかと思います。
つまりブログについては、マーケティングツールとしての特徴(強み・弱みも含む)が十分理解されていないまま、興味ばかりが先行して盛り上がっている状態になっているように思います。
ところが、興味を持ってブログのことを理解しようとすると、「トラックバック」が...、とか「RSS」が...、とか、Ping送信しているからブログ検索エンジンでどうの、とか、最近は「Podcast」も普及してきた、とかとか、いろいろ摩訶不思議なキーワードに出会ってしまうわけです。おまけに言葉が難しいだけでなく、その仕組みも直感的に理解しづらいものが少なくないですから、始末が良くありません。
それこそ、“オジサン”のなかには、もういいゃ、別に無理してわかろうとしなくても何とかなるだろう、という気持ちになってしまったりするのではないでしょうか。(私もまだよくわからないものがいくつもあります...)
そんな人、――興味はあるのだけど、もはやなかなか基本的なことを人に聞きづらくなってしまった人、まぁ私を含めてですが(笑)、あるいはもっとまじめにブログをマーケティングツールとして活用していきたいと考えている人――には、この本はお勧めだと思います。
ブログの持つ特徴から、マーケティングツールとして使ったときのよさ、あるいは実際の使い方(パターン)、実例、そして自分で始める時のノウハウ、などが丁寧に書かれています。
とにかくブログを自分でする、ではなくて、仕事で使うという発想を持っている人には、きっと参考にできる箇所がある本だと思います。
著者の四家氏が勤めている「カレン」という会社は、ブログをマーケティングツールとしていち早く取り入れた会社であり、日本のキャンペーンブログの先駆けとして有名な、日産の「ティーダブログ」を企画運営している会社です(博報堂の資本が入っているので、博報堂関係の業務多いとも聞いています)。
日本でブログマーケティングについての先進企業の一つと言っていいのだと思います。
まあこのように、この本はブログマーケティングの実務に通じた専門家の書いた、ブログマーケティングへの恰好の入門書と位置づけられると思います。
ただ私自身が最も興味深く感じ、ちょっと引っかかったのは、本文の最後におまけみたいな形でくっついている「ブログマーケティングの未来」と題した、四家氏と織田浩一氏(有名なブログAd Innovatorを配信している人です)の対談でした。引用します。
「四家:シックス・アパートが法人向け開発の拠点を日本に移したじゃないですか。個人向けのTypePadじゃなくて、Mobale Type系の法人利用の開発で。その理由は、ビジネスブログ分野では日本のほうが先行しているから。日本のP&Gを見て米国のP&Gが動くという状況だからとのことなんですね。」(p159)
「四家:ネットの世界って、大体米国の何年遅れみたいなことも言われるんですが、シックスアパートが言うんだから日本が先行している点は間違いなくあるんじゃないかと思っています。何でそうなったのかというと、僕の大胆な仮説としては商習慣とは文化の違いが大きいのかなと。」(p160)
注:シックス・アパート ブログの基本ツールを開発、提供している会社です。詳しくはここ。
興味深い指摘だと思いました。インターネットに関連する技術は一般には数年遅れて日本に入ってくるのが確かに現状なのだと思います。しかし、日本においてはインターネット環境は欧米とは違った形で発展している面があるのも事実であり、例えばモバイルを使ったサービスなどは典型的です。
ブログについても、アメリカでは2004年の大統領選挙で「草の根ジャーナリズム」のツールとして脚光を浴びたことが大きな契機となって利用が進展した話が知られていますが、日本では必ずしもそうしたジャーナリスティク方向での使われ方はしていません。むしろ、日常のつれづれなる日記や世の中の事件(ホリエモン逮捕とか)を取り上げて、コメントや感想を述べるようなものが主流となっている気がします。私はやっていませんが、携帯電話からブログの更新をしているような人も結構いるのではないかと思います。
日本でブログを使ったマーケティングを進めていく上で、アメリカの状況はあまり関係はないのですが、アメリカと比較することで日本の特徴を理解することもできますので、比較して考えてみるのも面白いと思います。それに、日本には独特のブログ文化の土壌があるとすれば、マーケティング施策を行う場合も、それに応じたものが必要となってきますよね。どんなものが必要なのかははっきりとは今はいえませんが(みなさんがこの本を読めば、ヒントが見つかるかも知れません)。
とはいえ、日本のアニメやマンガが欧米で"Cool"とされているみたいに、日本の「ブログマーケティング」も"Cool"なコミュニケーションアクティビティだ、とアメリカ人なんかから見られたら、それはそれで面白いですね。
☆四家正紀+株式会社カレン「図解ブログマーケティング」(2005年)翔泳社
図解 ブログ・マーケティング
とは言っても、ブログはここ1〜2年に普及したツールであり、マーケティングで活用するときの特長やクセなどは必ずしも十分理解されているわけではないと思います。一方、最近の新聞や雑誌の記事ではブログのことがよく取り上げられており、広告関係の専門誌(「宣伝会議」とか)などを見ると毎号毎号「ブログを使った何々」、というような話が出てきたりしています。広告業界の人なら、最近お得意さんから「ブログは...」などと話しかけられた人も少なくないのではないかと思います。
つまりブログについては、マーケティングツールとしての特徴(強み・弱みも含む)が十分理解されていないまま、興味ばかりが先行して盛り上がっている状態になっているように思います。
ところが、興味を持ってブログのことを理解しようとすると、「トラックバック」が...、とか「RSS」が...、とか、Ping送信しているからブログ検索エンジンでどうの、とか、最近は「Podcast」も普及してきた、とかとか、いろいろ摩訶不思議なキーワードに出会ってしまうわけです。おまけに言葉が難しいだけでなく、その仕組みも直感的に理解しづらいものが少なくないですから、始末が良くありません。
それこそ、“オジサン”のなかには、もういいゃ、別に無理してわかろうとしなくても何とかなるだろう、という気持ちになってしまったりするのではないでしょうか。(私もまだよくわからないものがいくつもあります...)
そんな人、――興味はあるのだけど、もはやなかなか基本的なことを人に聞きづらくなってしまった人、まぁ私を含めてですが(笑)、あるいはもっとまじめにブログをマーケティングツールとして活用していきたいと考えている人――には、この本はお勧めだと思います。
ブログの持つ特徴から、マーケティングツールとして使ったときのよさ、あるいは実際の使い方(パターン)、実例、そして自分で始める時のノウハウ、などが丁寧に書かれています。
とにかくブログを自分でする、ではなくて、仕事で使うという発想を持っている人には、きっと参考にできる箇所がある本だと思います。
著者の四家氏が勤めている「カレン」という会社は、ブログをマーケティングツールとしていち早く取り入れた会社であり、日本のキャンペーンブログの先駆けとして有名な、日産の「ティーダブログ」を企画運営している会社です(博報堂の資本が入っているので、博報堂関係の業務多いとも聞いています)。
日本でブログマーケティングについての先進企業の一つと言っていいのだと思います。
まあこのように、この本はブログマーケティングの実務に通じた専門家の書いた、ブログマーケティングへの恰好の入門書と位置づけられると思います。
ただ私自身が最も興味深く感じ、ちょっと引っかかったのは、本文の最後におまけみたいな形でくっついている「ブログマーケティングの未来」と題した、四家氏と織田浩一氏(有名なブログAd Innovatorを配信している人です)の対談でした。引用します。
「四家:シックス・アパートが法人向け開発の拠点を日本に移したじゃないですか。個人向けのTypePadじゃなくて、Mobale Type系の法人利用の開発で。その理由は、ビジネスブログ分野では日本のほうが先行しているから。日本のP&Gを見て米国のP&Gが動くという状況だからとのことなんですね。」(p159)
「四家:ネットの世界って、大体米国の何年遅れみたいなことも言われるんですが、シックスアパートが言うんだから日本が先行している点は間違いなくあるんじゃないかと思っています。何でそうなったのかというと、僕の大胆な仮説としては商習慣とは文化の違いが大きいのかなと。」(p160)
注:シックス・アパート ブログの基本ツールを開発、提供している会社です。詳しくはここ。
興味深い指摘だと思いました。インターネットに関連する技術は一般には数年遅れて日本に入ってくるのが確かに現状なのだと思います。しかし、日本においてはインターネット環境は欧米とは違った形で発展している面があるのも事実であり、例えばモバイルを使ったサービスなどは典型的です。
ブログについても、アメリカでは2004年の大統領選挙で「草の根ジャーナリズム」のツールとして脚光を浴びたことが大きな契機となって利用が進展した話が知られていますが、日本では必ずしもそうしたジャーナリスティク方向での使われ方はしていません。むしろ、日常のつれづれなる日記や世の中の事件(ホリエモン逮捕とか)を取り上げて、コメントや感想を述べるようなものが主流となっている気がします。私はやっていませんが、携帯電話からブログの更新をしているような人も結構いるのではないかと思います。
日本でブログを使ったマーケティングを進めていく上で、アメリカの状況はあまり関係はないのですが、アメリカと比較することで日本の特徴を理解することもできますので、比較して考えてみるのも面白いと思います。それに、日本には独特のブログ文化の土壌があるとすれば、マーケティング施策を行う場合も、それに応じたものが必要となってきますよね。どんなものが必要なのかははっきりとは今はいえませんが(みなさんがこの本を読めば、ヒントが見つかるかも知れません)。
とはいえ、日本のアニメやマンガが欧米で"Cool"とされているみたいに、日本の「ブログマーケティング」も"Cool"なコミュニケーションアクティビティだ、とアメリカ人なんかから見られたら、それはそれで面白いですね。
☆四家正紀+株式会社カレン「図解ブログマーケティング」(2005年)翔泳社
図解 ブログ・マーケティング
コメント
コメント一覧 (2)
621&アソシエイツの南と申します。
当社は広告業界専業のヘッドハンターですが、このたびブログを開設いたしました。平均年齢49歳というメンバーが慣れないながらも記事をアップしています。
私自身は、Harryさんが書かれている、「細かいことは分からないからいいやと思っている」ブロガーです。
よろしければ一度アクセスをいただければ幸いです。
※もし、私のコメントが不適切なものでしたら、遠慮なく削除してください。その際は失礼をお詫びいたします。
「広告業界専業のヘッドハンター」という肩書きが、ちょっとコワイですね(笑)。最近は以前に比べ一層人材流動化が進んでいるようですが、雇用条件もまちまちで転職する若者が多いみたいで、ちょっと気になっています。
ブログは拝見しました。毎日の更新がすごいですね。頭が下がります。
こちらの更新は週1回ペースなのですが、これからもよろしくお願いします。