「インターネットの世界は気がついてみたら知らない言葉ばっかりになっていて、もう何がなにやらさっぱりわからないよ!!」...会社の中で“ベテラン”の域に達しているくらいの年齢の人の中には、会社の帰りの居酒屋でちょっとWEBに詳しい同僚を相手に、こんなグチをこぼしているような人、案外多いのではないでしょうか?
しかし、メールやネットを使いこなしているような若い人でも、案外と中身については何も知らなかったりしますから、オジサン方はびくびくする必要はないのですが、まあ確かにインターネットビジネスの世界では、新しい機能や言葉がどんどん生まれていて、うっかりするとたちまち浦島太郎状態になってしまいますから、きちんとお付き合いをするのも大変です。
とはいえ、例えば仕事で必要があってインターネットの世界にかかわらざるを得なくなったとき、知らない、関心がない、わからないでは済まされません。
今回紹介する本は、まさにそんな人のための本だと思いました。
この本の著者木村達也氏は、これまでコトラーやブランド関連の本の翻訳などを手がけているマーケティングの先生ですが、筆の運びから想像するに、恐らくご自分で「今のインターネットを使ったマーケティングとはどうなっているのだろう?」と感じたことが出発点で、自分で調た結果を自分なりにまとめた、という形で本を記されたのではないかと思います(間違っていたら済みません)。その意味では、まさに著者自身が「そんな人たち」の代表であり、それゆえ「そんな人たち」にとっては親しみやすいのではないかと思います。
そういうことに関連して、この本の内容も次のような視点で書かれていて特徴的です。
「インターネット・マーケティングの目的は、これまでのマーケティングとなんら変わるものではありません。企業をはじめとする組織が、競合とは異なる価値を創造、提供することで顧客との間の最適なマッチングを実現し、さらに顧客との長期的な関係を構築することで、双方の付加価値を最大化するための活動そのものなのです。そして、本書で述べるインターネット・マーケティングとは、情報技術としてのインターネット環境をもとにしたマーケティングの発想とそのための展開、および利用全般を指しています。」(p3「まえがき」きより)
つまり、最新のインターネットビジネスそれ自体を単に紹介するというのではなく、マーケティングにおける新しいツールの一つとしてどう位置づけたらいいのかという課題への回答込みで紹介するという視点です。「インターネットを使ったマーケティングを、既存のマーケティングのフレームで分析し、これまでの他の方法との違いを紹介する視点」と言い換えてもいいかもしれません。
既に、アフィリエイトやブログなど、一般のわれわれにとっても身近なインターネットの新技術やサービスを使って出来るようになったことはさまざまに紹介され、それをテーマにした類書も多いと思います。しかし、インターネットで出来ることを「マーケティング」というフレームの中に置き直して、分析してみるという視点を持つ本はあまりないのではないでしょうか。そうした意味で、この本はユニークですし、他と違う価値があると思います。
構成は、
・インターネット・マーケティングにできること(これまでと何が変わり得るのか)
・インターネット・ビジネスの特性(従来のビジネススタイルとの違い)
・インターネットをマーケティングに活かす(調査、コミュニティなど)
・マーケティングミックス戦略(EC、広告など)
・インターネット・マーケティングの将来像(課題など)
からなっています。
このようなことですので、この本は「入門書」という位置づけですが、読み手としては大学生や新社会人のようにマーケティングもインターネットもまったくの初めてという人より、ある程度マーケティングの領域で仕事をし、マーケティングのバックグラウンドがある人で、「あれ、インターネットでのマーケティグって、今どうなってんだっけ?」と疑問を持ったような人向きなのだと思います。
反対にマーケティングのバックグラウンドのない人や読むと、マーケティングの概念を考えながら読む必要があるので、多少難しいかも知れません。
もっともインターネット技術・サービスの動きはとても早いので、この本の内容がいつまで鮮度のあるものか、というのは今の時点では予測できない、という問題点もはらんでいます。これはインターネットを紹介するすべての本に共通することでしょうが。少ないとも今の時点(2005年10月)では、価値のある本だと思います。
☆木村達也著「インターネット・マーケティング入門」(2005年)日本経済新聞社(日経文庫)
インターネット・マーケティング入門
しかし、メールやネットを使いこなしているような若い人でも、案外と中身については何も知らなかったりしますから、オジサン方はびくびくする必要はないのですが、まあ確かにインターネットビジネスの世界では、新しい機能や言葉がどんどん生まれていて、うっかりするとたちまち浦島太郎状態になってしまいますから、きちんとお付き合いをするのも大変です。
とはいえ、例えば仕事で必要があってインターネットの世界にかかわらざるを得なくなったとき、知らない、関心がない、わからないでは済まされません。
今回紹介する本は、まさにそんな人のための本だと思いました。
この本の著者木村達也氏は、これまでコトラーやブランド関連の本の翻訳などを手がけているマーケティングの先生ですが、筆の運びから想像するに、恐らくご自分で「今のインターネットを使ったマーケティングとはどうなっているのだろう?」と感じたことが出発点で、自分で調た結果を自分なりにまとめた、という形で本を記されたのではないかと思います(間違っていたら済みません)。その意味では、まさに著者自身が「そんな人たち」の代表であり、それゆえ「そんな人たち」にとっては親しみやすいのではないかと思います。
そういうことに関連して、この本の内容も次のような視点で書かれていて特徴的です。
「インターネット・マーケティングの目的は、これまでのマーケティングとなんら変わるものではありません。企業をはじめとする組織が、競合とは異なる価値を創造、提供することで顧客との間の最適なマッチングを実現し、さらに顧客との長期的な関係を構築することで、双方の付加価値を最大化するための活動そのものなのです。そして、本書で述べるインターネット・マーケティングとは、情報技術としてのインターネット環境をもとにしたマーケティングの発想とそのための展開、および利用全般を指しています。」(p3「まえがき」きより)
つまり、最新のインターネットビジネスそれ自体を単に紹介するというのではなく、マーケティングにおける新しいツールの一つとしてどう位置づけたらいいのかという課題への回答込みで紹介するという視点です。「インターネットを使ったマーケティングを、既存のマーケティングのフレームで分析し、これまでの他の方法との違いを紹介する視点」と言い換えてもいいかもしれません。
既に、アフィリエイトやブログなど、一般のわれわれにとっても身近なインターネットの新技術やサービスを使って出来るようになったことはさまざまに紹介され、それをテーマにした類書も多いと思います。しかし、インターネットで出来ることを「マーケティング」というフレームの中に置き直して、分析してみるという視点を持つ本はあまりないのではないでしょうか。そうした意味で、この本はユニークですし、他と違う価値があると思います。
構成は、
・インターネット・マーケティングにできること(これまでと何が変わり得るのか)
・インターネット・ビジネスの特性(従来のビジネススタイルとの違い)
・インターネットをマーケティングに活かす(調査、コミュニティなど)
・マーケティングミックス戦略(EC、広告など)
・インターネット・マーケティングの将来像(課題など)
からなっています。
このようなことですので、この本は「入門書」という位置づけですが、読み手としては大学生や新社会人のようにマーケティングもインターネットもまったくの初めてという人より、ある程度マーケティングの領域で仕事をし、マーケティングのバックグラウンドがある人で、「あれ、インターネットでのマーケティグって、今どうなってんだっけ?」と疑問を持ったような人向きなのだと思います。
反対にマーケティングのバックグラウンドのない人や読むと、マーケティングの概念を考えながら読む必要があるので、多少難しいかも知れません。
もっともインターネット技術・サービスの動きはとても早いので、この本の内容がいつまで鮮度のあるものか、というのは今の時点では予測できない、という問題点もはらんでいます。これはインターネットを紹介するすべての本に共通することでしょうが。少ないとも今の時点(2005年10月)では、価値のある本だと思います。
☆木村達也著「インターネット・マーケティング入門」(2005年)日本経済新聞社(日経文庫)

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