「口コミマーケティング」の新たな本をご紹介します。

前々回「ファンサイトマーケティング」という本を紹介しましたが、今回紹介するのは同じ著者、日野佳恵子さんの2003年出版の本です。前作に当たります。
しかし気づかされることが多く、とても参考になります。

特に参考になった点を3つに整理しました。

仝コミマーケティングに重要なのは「体験談」であるということ。

クチコミとは「他人の体験談」が聞けるというほかのメディアでは絶対にない説得力を持っている。(p67)

よい体験ができれば、自然と口コミも増えるという仕組みがあるわけですね。同じようなことは、「クチコミはこうしてつくられる」という本の著者のエマニュエル・ローゼンも言っていました。また、「うわさ」との違いについてもこんなことを言っています。

クチコミが体感型だとすれば、ウワサはすべてが伝聞型だ。(p88)

するどい指摘です。

口コミマーケティングは「コミュニティ」がベースであること。

多くの企業が挑戦してきたクチコミの仕掛けは、(中略)人が集まっている電車の中や球場で、わざとクチコミをするサクラの仕込み、流行らせたいファッションを着せた人たちを原宿や渋谷で歩かせる、といったような方法だった。(p92)
クチコミ情報の発信者に「接触」し、「生の声」を聞いた人たち。すなわち「第一次受信者」の数が多ければ多いほど、その情報はリアリティのある話題として外に広がり、クチコミの連鎖が繰り返されていく。(p91)


なるほど。多分、世の中のマーケティング関係者で「口コミ」というものを誤解している人が多いと思います。奇抜な服装の人を渋谷で歩かせて話題を集めるのも口コミ戦略の一種だとは思いますが、本質ではないということですね。日野さんが提唱するように、コミュニティ(あるいは一定の人間関係)があるから口コミが広がるわけで、マーケティング戦略としては「コミュニティ」に対してどうアプローチするのか、という視点抜きでは本質には迫れないということでしょう。

まさに「目ウロコ」です。(これが重要だからこの本の題名になっているのでしょうね。)

クチコミ効果テスト

口コミを「マーケティング」と捉える以上、効果を問われるのは宿命です。慈善事業ではないのですから、投資したお金がどう返ってくるのか(難しく言うとROIですね)、少なくともクチコミマーケティング仕掛ける側は(例えば広告代理店は)、お金を出す人(例えば広告主)に説明する責任があるわけです(これも難しくいうとアカウンタビリティですね)。この本の中ではいくつか実施した効果テストとその結果を載せており、参考になります。
とはいえ、いくらクチコミで広げることができても、購入に至るためには商品力が一番大事、という広告主さまにとっては耳の痛い指摘もありました。


日経ビジネスでも特集が出ましたから、今頃は、ウチの会社でも口コミだ!とお考えのところ少なくないと思います。(上司がそう言い出して困っている若手の方もいるかもしれません!)

しかし、口コミへのアプローチというのは、決して安易な話題作りではなくて、もっと地道なもののようだ、というのがこれまでいろいろ調べた私なりの印象です。

☆日野佳恵子「クチコミュニティ・マーケティング2」(2003年)朝日新聞社

クチコミュニティ・マーケティング2-実践編 あなたの会社がクチコミで伸びる!