広告代理店の現場からみた読書案内

広告・マーケティング関連の書籍を、広告業務の一線で働いている立場から紹介・書評します。

February 2006

 「コンテンツビジネス」をテーマにした本を最近よく目にするようになりました。私もこれまで「何冊かコンテンツをテーマにした本をここで紹介してきました。
 近年の海外における日本アニメ・漫画・ゲームの人気や知的財産への関心の高まりなどを背景にして、2004年政府が「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」を制定し、コンテンツビジネスの振興に乗り出しているようなことも関係していると思います。昨年の、ホリエモンのニッポン放送買収事件で「放送とネットの融合」を言い出したことも関心を高めることに一役買っているのでしょう。
 広告会社にとっても注目のビジネステーマであり、私にとっても目下ホットなテーマの一つであるわけです。

 今回紹介する本は、タイトルにある通りコンテンツビジネスについての本ですが、テレビ、インターネット、アニメ、ゲーム、音楽、新聞、出版など、コンテンツビジネスに関連するさまざまな領域の現状と課題を概括的に紹介したものです。本の帯に「2006年版 本邦初のコンテンツビジネス概論書」と書かれている通り、特に何かテーマを絞っているのではなく、「コンテンツビジネス」というものを幅広い視点から取り上げているところに特徴があると思います。
 著者の猪熊氏は毎日新聞記者出身で、現在拓殖大学客員教授を務めていらっしゃる方。元々が新聞記者出身ということで、ジャーナリスティック(批判精神的)な筆致で書いてあり、それがこの本のもう一つの特徴になっています。

 つまり、包括的な内容な上に、新聞記事的な事実を積み重ね、数字を多用しながら記述する姿勢が貫かれているといえばいいのでしょうか。それゆえコンテンツビジネスとそれを取り巻く状況を客観的、かつ平易に理解できる、そんな本だと思います。
 概論書というのは、概して退屈なものですが、新聞を読む感覚で手軽に読めるという意味ではグッドでしょう。

 ジャーナリスティックな視点と言えば、内容に関して通常のビジネス書ではあまり触れられないようなテーマもいくつか取り上げられていて、その意味でもユニークです。紹介すると興味深いものもあると思いますので、3点だけ取り上げて紹介したいと思います。

(1) 30度理論
 テレビとパソコンとの融合が進んでいます。最近のパソコンにはテレビチューナー
が搭載されているものも多く、パソコンなのにディスプレイがハイビジョン対応されているものもあります。こういう動きに対して、家電業界側には、「将来テレビがパソコンに置き換わってしまうのではないか?」という不安が昔からありました。
 一部はそうであっても、現実には必ずしもそうなっていないわけですが、その理由として「30度理論」というものがあるそうです。

 「『パソコンの画面を見るときは30度、前かがみになるが、テレビを見る時は30度、後ろに傾ける』という姿勢のことを『30度理論』という。(中略)パソコンはある程度の集中力や能動性がなくては、使えない。離れた位置でソファに座って、くつろぎながらマウスを操作する、などということはできない。それに家族揃って見られない。テレビは、誰にとっても操作が簡単で、『ながら視聴』が可能だ。リラックスして見られる。パソコンは情報を探す道具だが、テレビは娯楽、という役割の違いを、『30度理論』は端的に表現しているのである。」(p97-98)

 なるほど。自分もそういう風にテレビやパソコンに接しています。面白い理屈ですね。

(2) 通貨としての視聴率
 テレビ番組の作り手が視聴率に一喜一憂する、という話を聞いたことがある人は多いと思いますが、そこで「なんでそんな1%2%の数字に大騒ぎしているのか?」と疑問に思った人も少なくないと思います。テレビ広告の仕事をしている人ではみな知っている話ですが、それは視聴率がお金に換算され、視聴率が高ければテレビ局に入るお金(広告費)が増える、という事情があるからです。そのあたりの事情にもこの本では触れています。

 「視聴率は民放のビジネスモデルと直結しているのだ。視聴率をどれくらいとれるかによって、民放の収入源である広告費が左右されるのである。(中略)視聴率の高低はスポット広告といわれる広告料金に反映される。利益率の高いスポット広告はまず視聴率の高い局や、番組に集まり、その局のCM枠があふれると、次に視聴率の高い局に流れていく。こうして『1%でも高く』と民放各社には、視聴率至上主義が定着した。」(p68-69) 

 まあ、「利益率の高い〜」の部分は、実情とは違ってますけどね。この「通貨といしての視聴率」を巡る問題は、日本の広告ビジネスの根幹に横たわっていて、いろいろなことに対し影響を与えている、とても大きな問題です。あまりきれいとは言えない側面もあると思います。本当にジャーナリストでないとなかなか取り上げられないような問題です。機会があったらもう少し説明したいですが、とりあえずは視聴率はお金と直結しているという現状を理解ください。

(3) 新聞広告の影響度
 最近「テレビ広告が効かなくなった」という言い方が良くされます。確かに若年層での視聴率は低下傾向にあります。しかしその影に隠れてあまり議論されませんが、新聞広告の影響力低下の方が私はより深刻に思えます。

 「年齢層別に『新聞への毎日の接触度』を見ると、40歳未満でこの10年の落ち込みが目立っている。16〜19歳の年齢層では、1995年が75%だったのに、05年は54%まで下がった。同様に、20〜24歳では79%から55%に、25〜29歳では87%から64%に、30〜34歳では89%から77%に、35〜39歳では89%から73%に落ちている。」[NHK調査](p231-232)

 確かに急激に落ち込んでいる感じですね。考えてみれば、ニュースはテレビとインターネットで済むし、テレビ欄が見たければテレビ雑誌を買ってみる時代です。やむ終えないかもしれません。
 結果として、新聞広告にも元気がないということでしょう。

 「バブル崩壊後の1992年頃から、そもそも広告費全体が一進一退を続けているため、新聞業界の広告収入は不振が続いた。日本新聞協会加盟会社の広告収入は、1997年が9127億円なのに、03年は7544億円と、1500億円以上も減っている状態である。」(p235) 

 新聞広告は以前はじっくり読ませる説得媒体と呼ばれてきました。しかし今は詳しい情報が欲しければ、ネットで検索して手に入る時代です。ページをめくるときにちらっと眺めるだけの人も決して少なくないと思われる現状の新聞広告に対して、全国紙1ページ(15段)出稿するなら1回数千万円の費用が必要なわけです。なんか工夫がないと新聞社の出す広告料金には合理性が少ないような気がします。もちろん効果がないとはいいませんが。
 
 メディアの中で、最も保守的で変わりにくいと言われている新聞業界です。不祥事とか社内抗争とかに明け暮れていないで、ダイナミックな変革を先導して欲しいところです。

 ジャーナリストが書いた本ですから、専門性を求める人には肩透かしを食らった感じになるかも知れません。人により好みが分かれるかもしれませんが、ビジネスとしてコンテンツやメディアを見る人と違う独特の視点と掘り下げが見られる本だというのは確かだと思います。
 意外と一般の人や学生でなく、コンテンツビジネスやメディア領域にどっぷりと業務で浸かっている人が読んだ方が、かえって新鮮でためになるかも知れませんね。

☆猪熊建夫「日本のコンテンツビジネス」(2006年)新風社
日本のコンテンツビジネス―ネット時代にどう変わる

 昨年来、ブログ(ウエブログ)をマーケティングツールとして活用する試みがいろいろ出てきていて、今年はその傾向が加速しそうです。
 とは言っても、ブログはここ1〜2年に普及したツールであり、マーケティングで活用するときの特長やクセなどは必ずしも十分理解されているわけではないと思います。一方、最近の新聞や雑誌の記事ではブログのことがよく取り上げられており、広告関係の専門誌(「宣伝会議」とか)などを見ると毎号毎号「ブログを使った何々」、というような話が出てきたりしています。広告業界の人なら、最近お得意さんから「ブログは...」などと話しかけられた人も少なくないのではないかと思います。
 つまりブログについては、マーケティングツールとしての特徴(強み・弱みも含む)が十分理解されていないまま、興味ばかりが先行して盛り上がっている状態になっているように思います。

 ところが、興味を持ってブログのことを理解しようとすると、「トラックバック」が...、とか「RSS」が...、とか、Ping送信しているからブログ検索エンジンでどうの、とか、最近は「Podcast」も普及してきた、とかとか、いろいろ摩訶不思議なキーワードに出会ってしまうわけです。おまけに言葉が難しいだけでなく、その仕組みも直感的に理解しづらいものが少なくないですから、始末が良くありません。
 それこそ、“オジサン”のなかには、もういいゃ、別に無理してわかろうとしなくても何とかなるだろう、という気持ちになってしまったりするのではないでしょうか。(私もまだよくわからないものがいくつもあります...)

 そんな人、――興味はあるのだけど、もはやなかなか基本的なことを人に聞きづらくなってしまった人、まぁ私を含めてですが(笑)、あるいはもっとまじめにブログをマーケティングツールとして活用していきたいと考えている人――には、この本はお勧めだと思います。
 ブログの持つ特徴から、マーケティングツールとして使ったときのよさ、あるいは実際の使い方(パターン)、実例、そして自分で始める時のノウハウ、などが丁寧に書かれています。
 とにかくブログを自分でする、ではなくて、仕事で使うという発想を持っている人には、きっと参考にできる箇所がある本だと思います。

 著者の四家氏が勤めている「カレン」という会社は、ブログをマーケティングツールとしていち早く取り入れた会社であり、日本のキャンペーンブログの先駆けとして有名な、日産の「ティーダブログ」を企画運営している会社です(博報堂の資本が入っているので、博報堂関係の業務多いとも聞いています)。
 日本でブログマーケティングについての先進企業の一つと言っていいのだと思います。

 まあこのように、この本はブログマーケティングの実務に通じた専門家の書いた、ブログマーケティングへの恰好の入門書と位置づけられると思います。
 ただ私自身が最も興味深く感じ、ちょっと引っかかったのは、本文の最後におまけみたいな形でくっついている「ブログマーケティングの未来」と題した、四家氏と織田浩一氏(有名なブログAd Innovatorを配信している人です)の対談でした。引用します。

 「四家:シックス・アパートが法人向け開発の拠点を日本に移したじゃないですか。個人向けのTypePadじゃなくて、Mobale Type系の法人利用の開発で。その理由は、ビジネスブログ分野では日本のほうが先行しているから。日本のP&Gを見て米国のP&Gが動くという状況だからとのことなんですね。」(p159)
 「四家:ネットの世界って、大体米国の何年遅れみたいなことも言われるんですが、シックスアパートが言うんだから日本が先行している点は間違いなくあるんじゃないかと思っています。何でそうなったのかというと、僕の大胆な仮説としては商習慣とは文化の違いが大きいのかなと。」(p160)


 注:シックス・アパート ブログの基本ツールを開発、提供している会社です。詳しくはここ

 興味深い指摘だと思いました。インターネットに関連する技術は一般には数年遅れて日本に入ってくるのが確かに現状なのだと思います。しかし、日本においてはインターネット環境は欧米とは違った形で発展している面があるのも事実であり、例えばモバイルを使ったサービスなどは典型的です。
 ブログについても、アメリカでは2004年の大統領選挙で「草の根ジャーナリズム」のツールとして脚光を浴びたことが大きな契機となって利用が進展した話が知られていますが、日本では必ずしもそうしたジャーナリスティク方向での使われ方はしていません。むしろ、日常のつれづれなる日記や世の中の事件(ホリエモン逮捕とか)を取り上げて、コメントや感想を述べるようなものが主流となっている気がします。私はやっていませんが、携帯電話からブログの更新をしているような人も結構いるのではないかと思います。

 日本でブログを使ったマーケティングを進めていく上で、アメリカの状況はあまり関係はないのですが、アメリカと比較することで日本の特徴を理解することもできますので、比較して考えてみるのも面白いと思います。それに、日本には独特のブログ文化の土壌があるとすれば、マーケティング施策を行う場合も、それに応じたものが必要となってきますよね。どんなものが必要なのかははっきりとは今はいえませんが(みなさんがこの本を読めば、ヒントが見つかるかも知れません)。

 とはいえ、日本のアニメやマンガが欧米で"Cool"とされているみたいに、日本の「ブログマーケティング」も"Cool"なコミュニケーションアクティビティだ、とアメリカ人なんかから見られたら、それはそれで面白いですね。

☆四家正紀+株式会社カレン「図解ブログマーケティング」(2005年)翔泳社

図解 ブログ・マーケティング

 この本の著者、参議院議員の世耕弘成議員は、昨年の総選挙で自民党の「コミュニケーション戦略チーム」を主催し、広報戦略という面から自民党の大勝に大きく貢献した人として有名になられた人ですね。
 この本はその世耕議員が、昨年の総選挙の舞台裏を軸に「広報」とはどうあるべきかということについて書いた本です。
 
 昨年の総選挙はコミュニケーションビジネスに携わるものにとって、自民党と民主党が、共にPR会社を雇い入れて本格的な選挙PRに乗り出した選挙として注目を集めました。アメリカでは大統領選挙など大きな選挙の際に、PR会社や選挙コミュニケーションコンサルタントが活躍するという話はよく知られていますが、私は、とうとう日本もそういう時代が来たのかという一種の感慨深さを感じましたし、一足先にPR会社(フライシュマン・ヒラード・ジャパン)を雇い入れ「マニフェスト」という新しい公約の見せ方を開発して選挙に勝利を収めてきた民主党に、プラップジャパンというPR会社を雇った自民党がどう対抗していくのか? PR会社の代理戦争どっちが勝つのか?という野次馬的興味も感じました。
 しかし選挙が終わって、自民党の選挙広報活動の舞台裏が次第に明らかになるにつれて、どうもPR会社の代理戦争などというものではない、もっと次元の違う本格的な選挙コミュニケーション活動が、自民党自らの主導の元に行われていたらしいということがわかってきました。その中心にあったのが自民党の「コミュニケーション戦略チーム」であり、それを統括していたのが世耕議員だったわけです。

 とはいえ、この本で語られているのは昨年の総選挙の単なる裏話ではありません。国や企業におけるコミュニケーション活動とはどうあるべきか、それに携わる人は何をすればいいのか、という比較的大きなテーマが著者の経験を通じて語られています。

 世耕氏はもともとNTT広報部勤務が長く、そこで「広報」についてのさまざまなスキル、例えばマスコミ論調の読み方や記者との付き合い方、企業トップのコミュニケーションのあり方などを身につけたということです。
 新人時代には、毎朝新聞11紙を切抜きして役員に配るなんていうハードな仕事もこなしたそうです。

 「『君、明日から毎朝6時半にくるんだよ』とは、配属された上司から言われた言葉である。毎日、早朝出勤して新聞の切抜きをしろという意味なのだ。これは新入社員には伝わらないようになっている。誰も配属希望を出さなくなるからだ。」(p136)

 その後アメリカの広報専門の大学院にも通い、将来は広報のプロフェッショナルとしてキャリアを積むことを考えていた氏は、参議院議員だった伯父の死により転機を迎えます。本来望まなかった選挙に立候補し当選。政界入りを果たすわけです。それが98年のことでした。
 しかし広報の専門家としてそこで見たのは、政府、特にそのトップである首相についてのあまりにもずさんな広報体制だったといいます。

 「私は森さんが総理になったとき、ぶら下がり取材では、どいうい準備をしているのか尋ねた。答えは『準備ゼロ』。秘書官が『今から出ます』といきなり扉を開け、総理はそのまま記者に囲まれるのである。多忙な総理に、ぶら下がり取材の勉強をしている時間はない。どうしようもない緊急事態が起きているときだけは、走り書きみないなメモを秘書官から手渡される。まったくコミュニケーションに関する戦略的ガードがないのだ。(p29)」
 「私はあるプランを持って、官邸記者クラブのキャップたちと会合した際、こう申し入れた。『とにかくもう、ぶら下がり取材はやめてくれませんか。総理の記者会見は1日1回、夕方に必ず開きますから。その代わり政府のスポークスマンが、1日24時間、いつだってみなさんの質問に答えるようにします』
 しかし、官邸記者クラブ側はそんなことは認められないという。
 『世耕さん、これは我々の権利です。24時間なにがあるかわからない、どんなときでも国民に代わって総理大臣のコメントを取れるというのが、我々の特権なんです。』
 記者たちが国民の知る権利に貢献していることはよくわかる。ただし、それによって日本の総理大臣だけが準備ゼロのままマイクやレコーダーを向けられ、コメントを求められる。総理大臣の発言は準備されたものかどうかに関係なく、世界を駆け巡る。当然、経済で言えば、株価や為替にも影響する。」(p33-34)


 言われてみれば、われわれの生活とも決して無縁ではない深刻な問題です。

 しかし、当選間もない新人議員の叫びでは既成の壁を壊すことが難しく、問題提起はし続けたものの、結局実現はしなかったようです。それが昨年の総選挙で、自民党が民主党への対抗上「広報」の必要性を感じ、いくつかの経緯があって、以前から問題提起をしていた世耕議員に「広報担当者」としての白羽の矢が立ったようです。初当選から7年(!)、ようやく「自民党広報本部代理兼幹事長補佐」という肩書きを手にし、自らの問題意識を実行に移すチャンスを得たわけです。

 総選挙の舞台裏の話を紹介するまでに、ちょっと長くなってしまいました。
 本当はこの本で一番面白いく実務的にも学ぶものが多いのは、やはり選挙の舞台裏で「コミュニケーション戦略チーム」を統括し、まさに水を得た魚のように活躍する話なのですが、もう長くなったのでここでは触れません。みなさん本を読んでみてください。コミュニケーションビジネスに携わる人はもちろん、全く予備知識がない人でも興味深く読めると思います。

 自民党の選挙広報活動も、これからもこんな調子で行くとしたら、他党は地力からいってもかなわないでしょうし、ちょっと怖い気さえします。それくらい、選挙結果だけでなく、コミュニケーション活動も「完勝」だったと言える話です。
  
 さて、最後にもう一つ。
 この本のあとがきの部分で氏は「改革の志」を持つ人にエールを送っています。本文に劣らずこの部分がとても印象的だったので、また少し長いのですが引用してみたいと思います。
 「ゴルバチョフ理論」というものです。

 「改革の同志である読者の方にアドバイスするとしたら、改革の意志を持ち続けることです。ただし、それをいつどうやって実現するのかの潮目を、十分に見極めてください。それを私はゴルバチョフ理論と名付けています。ソ連のゴルバチョフ書記長は、ソビエト共産党を徹底的に改革して最後は党を潰した人ですが、本人はソビエト共産党という組織の中で偉くなった人です。若い頃からトップに立つまでは、上に気を遣いながら、ある時は上司にゴマをすり、自分の言いたいことを我慢して出世したのでしょう。トップになってから初めて改革を断行したのです。彼がもし中途半端なポジションで、自分のやろうとしている改革を声高に主張していたら、必ず潰され粛清されて終わりだったに違いありません。
 組織の中では、ゴルバチョフ書記長のようにトップに登りきらずとも、ポジションとタイミングの組み合わせのどこかで、必ず改革の潮目がくるものなのです。(中略)改革はその時実行すべきです。その潮目が来るのをある程度待ち、チャンスが来たら見逃してはなりません。」(p179-180)


 氏は7年待って実現したわけですから。

 何か「プレジデント」の特集記事みたいな話ではありますが、会社勤めをしている私などにとってはちょっと励まされるいい話だと思いました。

☆世耕弘成「プロフェッショナル広報戦略」(2006年)ゴマブックス

プロフェッショナル広報戦略

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