広告代理店の現場からみた読書案内

広告・マーケティング関連の書籍を、広告業務の一線で働いている立場から紹介・書評します。

September 2005

 広告代理店の最大の資産は「人材」と言われます。幸いなことに学生の就職先として人気あるようで、採用試験には多くの学生がエントリーします。入社は狭き門となり、結果として有名大学卒や、語学に堪能な海外留学組などが多く入社してきます。
 彼らは、厳しい競争を勝ち抜いた満足感と少しの誇りや気負い、そして将来への希望で胸を膨らませて入社して来ると思うのです。
 ところが早ければ1〜2年後には、ぽろぽろ会社を辞める人が出始めます。私など、広告代理店はある意味なんでもできるところで、本人のやる気さえあれば、かなりいろいろな仕事に取り組むことができると思うのですが、広告代理店と言えども、将来に早くも限界を感じてしまう人が少なくないようなのです。こうした現象は特に最近目立っているように思います。

 せっかく希望に満ちて入社してきた新人が短い期間で辞めていくことを、私自身はたいへん残念に思うのですが、同時に私などが入社した時と何か変わってきたなぁ、それは何なんだろうなぁと、「誰々が辞める」というニュースに接するたびに思っていました。

 そうした中で今回紹介する本は、私にとって興味深い視点をいくつも提供してくれました。私自身の中でもやもやしていたものを言葉にしてくれたような感じがしました。
 この本は「今時の新入社員」がテーマなのですが、著者の山本氏は元博報堂の方であり(以前山本氏の別の著作「マーケティング企画の技術」を紹介した時に、氏について簡単に書かせてもらいました)、内容は彼の博報堂人事部時代の体験が基になっています。まさに広告代理店の新入社員が語られているわけです。

 内容をざっと紹介すると、まず新人と上司との世代間断絶から筆を起こし、新人研修での体験、例えばどんなタイプの新人がいて、彼らに対してどんな研修が必要と感じ実践したか、などから今時の「若者像」を彼らが育ってきた社会背景を分析しつつ描き出しています。そして最後に上の世代に対する提言・・・「若者は理解できないかもしれないが彼らを認めよう、そして対話をしよう」、で結ばれています。
 とても鮮やかに今時の若者像が描き出されており、う〜んなるほど、と感じたところがたくさnありました。観察力・分析力の鋭さには敬服します。

 中でも今の新人が会社不適応を起こす原因として挙げられていた「自分ストーカー」あるいは「借り物の夢」という言葉が非常に印象に残りました。

 「今の仕事や会社に疑問を持った新人たちから、相談を受けることはよくあった。はっきり『辞めたい』という者もいるが、それ以前に漠とした不安を持ってしまった者が遥かに多い。その不安には共通点がある。『借り物の夢』が深く関係している。」(p73)
 「母校の運動部のコーチをしたい。南の海で先生をしたい。大学院に行きたい。それぞれが夢を語る。だが良く聞いてみると具体的プランがないことも多い。(中略)やはり現状に対する不満や自分に対する不甲斐なさが根っこにある。だが、そこから逃げたいとは思いたくない。だからちょっとハードルの高い夢をもう一度掲げてみるのだろう。夢を持つこと自体が悪いのではない。だが、地に足のつかないままに夢を追った勢いでうっかり会社を辞めてしまうと漂流が始まることもあると思う。」(p75-76)
 「危なっかしい者たちにはどこか共通点がある。高校や大学の頃の自分を追いかけているようなところがあるのだ。『あの頃が一番自分らしかったなあ』という心持ちになってシャボン玉を追っかけている。その夢に比べて、毎日会社に通う自分がどうしてもパッとしない。 いわゆる自分探しを通り越して、何というか自分が自分のストーカーになっているようなのである。追われる方も困るが、追う方だって思いは必死である。『本当のお前は違うだろ』『いやこれでいいんだから、これ以上付きまとわないでくれ』 そんな問答が一人の中でおこなわれているような感じなのである」(p76-77)


 わかるような気がしますね。10年ほど前までは、人材流動化が進んでいる広告業界でさえも、会社に入ったら定年まで勤め上げるのが普通だったと思います。女性でも結婚して出産するまでは会社にいるだろうなと漠然と思っていたのではないでしょうか。しかし、今の時代それを普通だと思っている人はいないと思います。実際転職したり、自分の好きなことを始めた人の話は溢れています。今は、自分の未来を自分で自由に描くことが当然であり、奨励されているわけです。

 「自分の未来を自由にスケッチしてごらん。そう言われただけで、夢は描けるものではない。とりあえず借り物の夢を描いてみるがそう簡単には叶えられない。そうなると『自分ストカー』状態になってしまう。」(p78)

 かといって、誰もが夢を描き実現させられるわけではありません。現実感の乏しい「借り物の夢」ではなおさらです。しかし自分のできそうな範囲、例えば会社での仕事を頑張って夢を実現するということは、それこそ夢のない「(サラ)リーマン的生き方」であり、良くない!と思ってしまう。かくして、優秀でプライドのある新人たちは、悶々とする中で会社への不適応を起こしていく、ということでしょうか。

 メカニズムはわかったとして、新人、会社の上司共にハッピーになる方策とは何なのでしょう?

 氏はそこで、新人と上司とによる「対話」を提案しています。新人だって苦しんでいるわけだから、上司は自分の体験を押し付けずに、彼らの悩みを認めつつ話をしよう、というものです。
 少なくともあてもなく会社を辞め、人生に漂流する新人を減らすことにはつながるでしょう。確かにこれが、出来る唯一の解のように思えます。

 とはいえ、なんだか困った時代だな、とも思いますね。悩みはわかりますが、悶々とするのは学生までにして欲しいし、学生には悶々とする時代を抜け出してから広告代理店の門を叩いて欲しいと思いますね。
 辞めてしまうかもしれない腰の座らない人間と一緒に仕事をするのは嫌だし、時間と労力の無駄ですから。何より一生懸命仕事を教えても、間もなくいなくなってしまうでは、やりきれません。
 そうだ! 新人採用の基準を変えるのがいいかもしれません。「学生時代悶々と過ごした人」、あるいは「人生に対して腰の据わった人」というのを、優先採用基準にするというのはどうでしょう?

☆山本直人著「話せぬ若手と聞けない上司」(2005年)新潮社新潮新書

話せぬ若手と聞けない上司

 このブログで何度も苦言を呈して来たことがあります。それは「邦訳書のタイトルが原著タイトルと全く異なるものがある」ということの問題です。意訳程度なら許容できますが、過度な売らんがため精神や特別利害関係により、全く違ったものになることがあり、それは日本の読者に対して失礼だし、やるべきでないという主張です。

 この本タイトルは「クチコミで動かす」です。私はクチコミに関心があるものですから、つい買ってしまいました。しかし中身はPRの本であり、それもPRの中でも比較的特殊なMedia Releationのノウハウを紹介した本です。「まえがき」こそクチコミの拡大にPRが寄与するという話をしていますが、その他はクチコミの話題など、これっぽっちも出てきません。単に「クチコミを流行らせたければPRが大事→だから以下PRのやり方説明」というロジック展開の基に、PRの話、それも記者にどうアプローチするべきかという話が延々と続いているだけなのです。例えば、PRされたものがすべてクチコミに乗るわけでもない、という事実もあるわけで、その辺りの問題意識についてはまるきり触れられていません。
 タイトルだけでなく、帯の宣伝文句にまでこう書いてあります。

 「バズ(クチコミ)を効果的に広めて、あなたの商品を大ヒットさせる! 米国流『バズマーケティング』の実践的入門書。」(帯より)


 まあ、中身とタイトルの不一致は、原題を見ると納得できます。"Full Frontal PR"・・・「PRの最前線」ぐらいの意味でしょうか? PRに関心がないわけではないので最後まで読みましたが、クチコミの本かと思って買った人は裏切られた気持ちになるでしょう。ちょっと待ってくれよ! という気になります。

 ところが、文中にはこんな記述もあります。PRマンが記者に接すべき態度を述べたところです。

 「自社の話題をより魅力的に見せるために、不正確であったり、誤解を招くような情報を提供することは、深刻な問題を自ら招いているようなものだ。うそ、誇張、あいまいな情報はすべて必ず露呈する。活字媒体に載ったことであれば、とくにそうだ。(中略)正直に話をしなければ、あなたが不誠実な人であるという評判を人づてに聞くことになるだろう。このことは声を大にして強調しておきたい。そうしないと、何もかもが台なしになってしまうからだ。」(p55) *太字筆者

 邦訳書のエディターにはこの一節を見直して欲しいと思いました。
 この本の価値の「何もかもが台なしに」なりかねません。 

 さて、とはいうもののPR、特にあまり触れられることのなかったMedia Relationのノウハウを書いた本としては中身の充実した本といえます。読者の中にはPR=Public Relationということで、何となくカッコイイ印象をお持ちの人も少なくないと思います。そこでは密かな戦略性が重視され、流行を作り出したり世論をコントロールする黒幕のようなものかなぁ、というイメージがあるのではないでしょうか? しかし、目標はそうであったとしても、実際やっていることはイメージとは異なり、とーっても泥臭い、Media Relation=つまり記者と仲良くなっていかに自分に都合のいい記事を書いてもらうのか、という活動の日々の積み重ねなわけです(私の知る限り)。これはアメリカでも日本でも同じような気がします。
 著者は、臆することなく「泥臭い仕事のためのノウハウ」を懇切丁寧に書き記し、結果として「PRにまつわる神秘のベール」剥ぎ取りに一役買っています。

 ペンを持っているだけで自分が偉いと思ってしまう類の人種が多い「記者」(特に新聞記者)たちの、ご機嫌を損ねないようにお付き合いしていくのがPRの仕事かぁ、と思うと幻滅してしまいますが、著者は「腐らずうまくやれ、それが仕事だから」と励まして(?)もいるようにも感じられます。

 クチコミに関心がある人にとっては裏切られた気がすると思いますが、PRに実際携わっている人、PRに関心がある人には役に立つマニュアル集だと言えるかと思います。

☆リチャード・レアマー、マイケル・プリチネージョ著、高橋眞人訳「クチコミで動かす」(2005年)PHP研究所

クチコミで動かす!―思い通りにウワサを生み出すPR術

 アーカーといえば、ブランドブームの生みの親です。彼の「ブランド・エクイティ戦略」(1994年)、続く「ブランド優位の戦略」(1997年)による、「ブランドエクイティ」の概念、ブランドの3つのベネフィット――「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現的ベネフィット」の概念、「ブランドアイデンティティ」の概念などは非常に衝撃的で、私たちを新しい知見と多少の迷いの森へと誘ってくれたくれたわけでした。3冊目の「ブランド・リーダーシップ」(2000年)は前2冊ほどは注目されなかったように記憶してますが、私は結構好きで、広告以外のコミュニケーションファクターをうまく使ってブランドを構築した例などがいろいろ紹介されていました。

 ブランドブームの沈静化と共に、アーカーはもはや過去の人になったかのように言われてますが、多少ブランドをかじった人ならあまり専門的に勉強していなくてもこの人の名前くらいは知っているはずの人であり、コミュニケーションビジネスにおけるこれまでの貢献の大きさでいえば、まさに巨人なのであります。

 そのアーカーのブランド論の4冊目です。こんどは「ブランド・ポートフォリオ」に焦点を当ててきました。「ブランド・ポートフォリオ」とは、企業内の複数ブランドの関係性をどう規定すべきか、ということについての問題です。例えば、企業ブランドと個別ブランドとの関係性、ファミリーブランドや技術ブランドといわれる、中間的なブランドの位置づけ方、ブランドエクステンション(拡張)の問題、M&Aなども含めたブランドの統廃合の問題などです。一般には「ブランド体系(アーキテクチャー)」という言い方の方が馴染みがある人が多いのではと思います。しかしアーカー自身、前作まではこの概念を「ブランドアーキテクチャー」と呼んでいたにも関わらず、この著作の中で、それが誤解を招きやすい悪い言い方だったとして撤回し、「ブランド・ポートフォリオ」という言葉を使う旨を表明しています。
 ここでも著作に従い、ブランドポートフォリオという言葉を使います。

 さて、広告代理店がクライアントさんからブランドコンサル的な依頼を受ける場合、ブランド開発などの課題もありますが、結構多いのが、実はこの「ブランド・ポートフォリオ」に関わる相談です。ブランド間の関係や、ブランドがカバーできる領域の問題などは、扱いが複雑に感じられ、なおかつ変にいじくると影響も大きいので、クライアントも専門家に頼りたくなるのでしょう。ところが、関心の高いテーマであるにも関わらず難易度の高さのためか、このテーマに関して総括的に取り上げ深く掘り下げた論考はこれまで日本にはありませんでした。そんな状態でしたから、われわれ(もとい、私は)はクライアントの依頼に対して、断片的な情報の寄せ集めと経験的なカンとでその場をしのいでいたような状態でした。
 それだけにアーカーのこの著作はわれわれの業務にとって大いに価値あるものだと思うし、こうした著作を世に問うアーカーに対しては、決して過去の人とは思えない、変わらぬ存在感を感じてもしまいます。

 本書がどんな内容を網羅しているのか、つまりどんな課題に直面した時に役立ちそうか、ということについては、「まえがき」にまとまっています。例えば
・ブランド拡張による製品市場の拡大戦略
・ブランドの垂直方向、低価格品や高級品への参入
・ブランドがカバーする製品の流行り廃りのなかで「らしさ」を維持する方法
・自社内の複数ブランドの活性化、差別化
・ブランド提携
・企業ブランドの活用
・M&Aなど事業再構築にともなうブランドマネジメント
などの課題です。

 とはいえ、肝心のその内容に関しては...評価は難しいですねぇ(爆)。持ちあげておいてなんなんですが、これもアーカー流で、上記のような各々のテーマについては、必要な要素が大変きちんと整理されています。だから例えば、本の中身を実務を進めていく上での留意点として使えば間違いを犯す可能性がグッと減るような気がしますし、そう活用していけばいいと思います。しかし全体を通して読むと、似たような概念や言葉があちこち出てきたり、執筆当時は成功していたかも知れないが今はちょっと、というようなブランドを持ち上げていたり(例えば「ソニー」を礼賛していたり。そういえば2冊目「ブランド優位の戦略」の中で褒めちぎっていたGM「サターン」も今はフツーのブランドになってしまいました)しています。読んでいるうち、言っていることがわからなくなったり、本当かぁ〜と突っ込みたくなることが少なくないのですよね。
 発想力の優れた天才、ではなくて、多くの情報を整理分類することに長けた官僚的秀才が書いた本、とでも例えられそうに思います。

 ちょっと思ったのですが、ブランドというのは本来人間の「記憶」がベースになっているから、ブランド論を語る際には、認知心理学とか大脳生理学とかの学問的バックボーンがないと話が表層的になってしまうような気がするのですよね。アーカーは企業活動上の「ブランド」の話に終始していますから、こうした部分が決定的に欠けているように思います。その点アーカーと並び称されるケラー(*注)は「顧客視点のブランド論」というのを心理学の知見をバックに展開しており、こちらの方がずっと議論の深みは感じます。
*(注)代表著作:「戦略的ブランド・マネジメント」(2000年)など

 アーカーには、偉大な面とこうした薄っぺらい面との両方が見えてしまうので、多少毀誉褒貶的に語られるところがあるのかも知れません。

 でも、人としてはいい人みたいですよ。相撲が好きで、日本に来て講演した時に、講演の前にアメリカ人がよくやる「アメリカンジョーク」を相撲ネタでやったことがあったそうです。それがいかにも考え抜いて準備しました、という感じの話で、おまけに全然面白くなかったそうです。
 そんな話を聞くと、人間臭くて好感が持てますよね。

☆デービッド・A・アーカー著、阿久津聡訳「ブランド・ポートフォリオ戦略」(2005年)、ダイヤモンド社
 ブランド・ポートフォリオ戦略

 今回紹介する本は、2003年に出版されたオンラインコミュニティをテーマにした本です。
 2003年というとオンラインの世界では、もう“昔”ですね。本題とはそれますが、この本の中身を読むと、いかにネットの世界の変化が激しく予測不可能なのか、ということを実感させられる一節がありました。ネット上でユーザー同士が情報交換するための機能についての見解なのですが、抜き出します。

 「米国でも落ち着いて会話を交わすコミュニティでは、相変わらず掲示板(ブリテンボード)が主流である。閲覧のしやすさ、ぶらぶらして気に入ったところを探せる、時間的に制約されないという点から見て、やはりコミュニティ・メディアのグローバルスタンダードは、掲示板であろう。」(p121)

 本の中には「インスタントメッセンジャー」の記述も、「ブログ」の記述も、「SNS」の記述もありません。別に悪意があって引用したのではありませんが、これを読むと、われわれは通常「今できること」をベースに「これからのビジネス」を考えているわけですが、それで本当に大丈夫なのか? ということに気づかされ、少し不安になります。特にネットの世界では言えることでしょう。

 とはいえ、このような本を取り上げたのは、最近読んでしまったからではありますが、この著者の会社「ガーラ」というところに興味を感じたからでした。

 ガーラという会社、ネットコミュニティの運営などを日本でいち早く取り入れた会社らしいのですが、私自身は、2ちゃんねるなどに代表されるネット上の書き込み・評判などを測定・分析するというユニークなサービスにいち早く取り組んだ会社としてその名前を聞いていました。
 ネット上で自社や自社ブランドがどのように語られているのかを把握できる、ということは大変興味あるテーマです。ネットの世界は膨大ですから、どこで何を言われているのかわかりません。悪評を知りその原因を早期に解決したり、良い評判を聞いてそれを元に効果的なコミュニケーションを展開していくことが出来れば、企業にとってメリットは大きいわけです。
 昔の「お庭番」のような役割ですね。

 こうしたニーズに対して、独自の検索エンジンを開発し、日本で最初に(たぶん)商用サービスを始めたのがガーラなのです。さらに、今年6月のニュースによると、ガーラに電通が出資を行い、電通とアライアンスを組んで、ネット上のクチコミ分析を自動化した「電通バズリサーチ」というサービスを10月から開始するとのことでした。

 とても興味深いニュースですね。そこで、彼らのサービスを語った本を読んで見ようと思ったわけです。
 本で紹介されているのは旧バージョンのサービスだと思いますが、本書中では「バイラルシェア・リサーチ」と呼んで、ネット上の評判分析サービスを紹介していました。

 「ネット上の口コミ情報、生声情報を通じて、自社の製品やブランドなどの情報がどれだけ語られているか、つまりユーザーの顕在化されたマインドシェアを、定量的に測定する手法が、バイラルシェア・リサーチである。」(p201-202)

 「バイラルシェアは、およそ次のようなプロセスで測定される。
。絅泪ぅ縫鵐亜*注)の巡回ロボットによるデータ収集
⊆集したデータから掲示板や個人HPの生声情報を抽出し、カウント
8譴蕕譴討い訝姥譴鮹蟒个掘⊇亳宿囘戮鬟ウント
ど床措瓦砲覆訝姥譽哀襦璽廖米胆)を策定する。
ッ姥譽哀襦璽廖米胆)の出現頻度をカウント
生声以外の情報も同様に分析し、生声情報と比較する」(p202)
  *注 eマイニング:ロボット型のメタサーチエンジン


 この中で、´↓にあたる、検索語(ブランド名など)に対する文章の抽出と単語カウントレベルは、今では結構普通になっていて、日本では例えばテクノラティジャパンというサイトなんかでは、今回の衆議院議員総選挙に関連して、関連するワードの出現頻度などを発表したりしています。はてなダイアリーなんかでも、自分のところのブログで言及されたワードをカウントしてグラフ化したりしています。
 しかし、きキΔ箸いΔ里牢蔽韻任呂覆い隼廚い泙垢掘△海良分が企業としては知りたい部分ですね。評価軸になる単語グループ(特性)を策定し、その出現頻度をカウントするというのは、つまり語られている話題、例えばデジタルカメラなら、ユーザーの評価情報にしても、デザインのことなのか、機能のことなのか、それ以外のことなのかを分類してカウントする、ということです。この他にニュース情報としてネット上に登場しているものがあったりして、全然意味合いが違うわけです。従来は、このあたりを人力中心でやられていたようなのですが、新サービスでは自動化される、ということなのでしょうか。
 
 冒頭に言いましたように、今となっては古い本なので、現在できることが説明されているわけではないのですが、「ネット上の評判を知る」という課題へのガーラなりのそもそもの取り組みが分かる本です。
 もっともこの本の中身は、ほとんどガーラがやっていることの説明なのですが。

 気になったことを一つ。同じガーラの8月のニュースリリースの中で、「ガーラがライブドアブログの口コミ情報をマーケティングリサーチに独占的に利用する契約を締結しました」とあります。「ブログの口コミ情報を独占的に利用する」...??? ナンですかねそれ? このブログ、ライブドアのブログなのですが、ここで書いているようなことが彼らに独占的に商業利用されるということですかね? 著作権はワタシにあると思うのですが、それはどうなってしまうのですかね??? ライブドアさん、説明が欲しいですね。
 ちょっとイヤな感じですね。

☆村本理恵子、菊川曉「オンライン・コミュニティがビジネスを変える」(2003年)NTT出版

オンライン・コミュニティがビジネスを変える―コラボレーティブ・マーケティングへの転換

 広告代理業は、構造不況に突入したと言う人がいます。なぜかというと、広告業を長く支えてきた「コミッションビジネス」が、現在曲がり角を迎えているからです。

 よくご存じない方に説明すると、現在もそうですが広告会社の収益の主要部分は、広告主のテレビや新聞などへの出稿に対して発生する、一定のコミッション(仲介手数料)から成立っています。コマーシャルの制作やイベントなどは派手ですが、それによる収益は、実はそれほど広告会社の経営に寄与していません。このコミッション率ですが、長らく15%程度が相場とされてきました(この仕組みを確立した人が、電通鬼十則を作った有名な電通4代目社長吉田秀雄氏といわれています)。
 ところが最近のデフレ傾向の中で、広告主からのコミッションの引き下げ要求、または広告価格引き下げを意図したメディア扱いの競合コンペ(ほとんど合見積り)がとても増えています。すると代理店はアカウント(売上げ)を維持するために、コミッションを削らなければなりません。これは広告業界も安売り競争に巻き込まれているということなのですが、普通のメーカーならここで仕入れを見直したり、中国などで安く生産して対応するわけですが、広告会社の場合、仕入れるメディア、特にテレビ広告枠などが規制によって縛られているため、安値での仕入れが構造上難しくなっています。つまり広告代理店は安く買い叩かれているのに、安値の仕入れが叶わず、利益を低下させざるを得ない、という立場に置かれているわけです。

 これは広告代理店の将来にとって大変な問題です。コミッションビジネスといえば、商社なども行き詰ってビジネスモデルをここ数年の間に大きく変革しましたね。広告業界でも、同じような変革が求められているのです。

 前置きが長くなりましたが、その変革の一つの方向性、すなわち広告代理店にとっての今後の有力な収益源と考えられているのが、今回紹介の本のテーマ「コンテンツ」ビジネスなのです。

 「コンテンツ」はいろいろな定義があるようですが、音楽、映画、テレビ番組、劇、漫画、アニメ、そして「スポーツコンテンツ」と呼ばれるオリンピック、ワールドカップなどのスポーツイベントなどをイメージしてもらえばいいと思います。内容それ自身に価値があり、さまざまなメディア(放送、DVD、インターネットなど)に加工して消費者の手元に届けることが出来る、という特徴を持ちます。特にデジタル化されたコンテンツを「デジタルコンテンツ」という言い方をしますね。言うまでもなく、ヒットすることにより相当大きな経済的価値を生み出します。日本のアニメや「おしん」などのテレビ番組が海外でヒットしていますが、日本はコンテンツの輸入大国でもあり、輸出大国でもあります。
 ここで広告代理店は、コンテンツの制作に関与し出資分に応じてリターンを受け取ったり、版権を所有し商品化などにより得た利益の中から版権収入を得たり、テレビ番組化してスポンサーを募ったりすることで、コンテンツをお金に換えていくわけです。実際、この領域は大手各代理店とも既に注力していて、電通は主要大型スポーツイベントの権利を押さえてたりしてますし(例えば世界陸上)、博報堂(博報堂DYメディアパートナーズ)では、Jリーグのスポンサーシップの販売権を押さえたり、「世界の中心で愛を叫ぶ」などの映画ビジネスに力を入れたりしています。

 さらに前置きが長くなってしまいました。肝心の本の中身については、私は今の代理店の置かれている立場に対する問題意識が背景にあったものですから、かなり期待して読んだのですが、正直言って少々物足りない感じでした。今まで「コンテンツ」のマーケティングを正面から取り上げた本はなかったという意味では価値ある一冊ですし、一応コンテンツに関して全体を網羅しているのだと思います。しかしコンテンツというものは、原作者、プロデューサー、商品化をする人、受け手である消費者などの立場によって、取り組む姿勢や見方がまるで変わってきます。そのへんの立ち位置が総花的に感じられ、やや散漫な印象を受けました。
 またユニークな視点として、コンテンツを「物語論」から捉える試みがなされていますが、必ずしも成功しているとは思えません。ここも原作者、プロデューサー、消費者のどの立場から見ているのかが曖昧だからのような気がします。

 全体を通じて、広告代理店に勤務する立場からいうと、コンテンツを活用して付加価値を生み出すビジネスの視点がもっと読みたい感じでした。また、前回「経験経済」という本を紹介しましたが、コンテンツを「経済的価値を生み出す消費者の経験(体験)」という視点で捉えたりすると、ビジネスの視点と消費者の視点を統合できて面白いのではないかなぁ、とも思いました。

☆新井範子、福田敏彦、山川悟「コンテンツマーケティング」(2004年)同文舘出版
コンテンツマーケティング―物語型商品の市場法則を探る

このページのトップヘ