今年もカンヌ国際広告祭が終わりました。Film部門では、イギリスホンダの"GRRR"という作品がグランプリを獲ったようです。ディーゼルエンジンの広告ですが、このインド風(?)の色彩感覚と、独特のメロディーは印象に残ります。
最近のグランプリは去年のPS2とか、ナイキのやつとか、あまりにも比喩が行き過ぎていて、広告の仕事をしていてもクリエーターでない私は、何が良いのやら理解に苦しむところがありました(こういうのはなかなか周りに素直に言えないんですよね。必死に良さの理由を自分なりに考えてました)。その意味では今年のクランプリは商品説明がストレートで、広告の原点に戻ったようでした。好感を持ちました。
ところで、仕事でお客さんと話をするときも、社内で他のセクションのメンバーと話をするときも、カンヌの話題のような「基礎教養」は不可欠です。よくアンテナ張ってるな、と思われ一目置かれます(たぶん)。
ブランドについての有名な失敗談も、恐らく「基礎教養」の一つでしょう。今日紹介する本はアメリカの本ですが、そうした知っていて決して損はしない有名な失敗談を、すごーく古いのを含めていろいろ集めています。
有名なところでは、「ニューコーク」の失敗でしょうか? 私はこの失敗談をリアルタイムで見ていたので印象深いのですが、もう本の中の話としてしか知らない人も多いことでしょう。
1985年4月、競合のペプシに追い上げられていたコークは、大規模な消費者調査の結果、今の味よりやや甘めの味の方が高い支持を受けるとの結論に達し、オリジナルのコークを販売停止にして、新製法の「ニューコーク」に全面的に切り替えると発表しました。すると、、、
コカコーラの本当の問題は、自分のブランド力を過小評価していたことによる。オリジナルのコカ・コーラの販売停止が発表されたとたん、多くの米国人が新商品をボイコットした。オリジナルがもはや手に入らないことに消費者は怒り狂ったのだ。ニューコークの売上げも伸び悩んだ。(p18)
結局わずか3カ月で決定を覆し、オリジナルのコカ・コーラを復活しました(Classic Cokeという名前になってしまいましたが)。
この事件は、ブランドが商品の名前以上であるということをはっきりとわれわれに見せ付けた事件で、その後のブランドブームの一つの背景になったともいえるでしょう。
このほかにもゼロックスのコンピューターや「.com」企業の失敗例などいろいろ載っています。全部読むと、何をしてはいけないか、ということがなんとなく感じられるようになるはずです。
日本でもありましたね。有名なところでは「雪印事件」(2000年)。ブランドがいかに脆いのかということを私たちに知らしめさせた事件でありました。ニューコークの話に似た「キリンラガーの生化」(1996年)という戦略も、いまだに当否が問われる戦略変更だったと思います。
こうしたことをたくさん知っていると、プレゼンの質疑応答のときなど箔が出ていいですよ。
☆マット・ヘイグ著、田中洋・森口美由紀訳『あのブランドの失敗に学べ!』(2005年)ダイヤモンド社
あのブランドの失敗に学べ!
最近のグランプリは去年のPS2とか、ナイキのやつとか、あまりにも比喩が行き過ぎていて、広告の仕事をしていてもクリエーターでない私は、何が良いのやら理解に苦しむところがありました(こういうのはなかなか周りに素直に言えないんですよね。必死に良さの理由を自分なりに考えてました)。その意味では今年のクランプリは商品説明がストレートで、広告の原点に戻ったようでした。好感を持ちました。
ところで、仕事でお客さんと話をするときも、社内で他のセクションのメンバーと話をするときも、カンヌの話題のような「基礎教養」は不可欠です。よくアンテナ張ってるな、と思われ一目置かれます(たぶん)。
ブランドについての有名な失敗談も、恐らく「基礎教養」の一つでしょう。今日紹介する本はアメリカの本ですが、そうした知っていて決して損はしない有名な失敗談を、すごーく古いのを含めていろいろ集めています。
有名なところでは、「ニューコーク」の失敗でしょうか? 私はこの失敗談をリアルタイムで見ていたので印象深いのですが、もう本の中の話としてしか知らない人も多いことでしょう。
1985年4月、競合のペプシに追い上げられていたコークは、大規模な消費者調査の結果、今の味よりやや甘めの味の方が高い支持を受けるとの結論に達し、オリジナルのコークを販売停止にして、新製法の「ニューコーク」に全面的に切り替えると発表しました。すると、、、
コカコーラの本当の問題は、自分のブランド力を過小評価していたことによる。オリジナルのコカ・コーラの販売停止が発表されたとたん、多くの米国人が新商品をボイコットした。オリジナルがもはや手に入らないことに消費者は怒り狂ったのだ。ニューコークの売上げも伸び悩んだ。(p18)
結局わずか3カ月で決定を覆し、オリジナルのコカ・コーラを復活しました(Classic Cokeという名前になってしまいましたが)。
この事件は、ブランドが商品の名前以上であるということをはっきりとわれわれに見せ付けた事件で、その後のブランドブームの一つの背景になったともいえるでしょう。
このほかにもゼロックスのコンピューターや「.com」企業の失敗例などいろいろ載っています。全部読むと、何をしてはいけないか、ということがなんとなく感じられるようになるはずです。
日本でもありましたね。有名なところでは「雪印事件」(2000年)。ブランドがいかに脆いのかということを私たちに知らしめさせた事件でありました。ニューコークの話に似た「キリンラガーの生化」(1996年)という戦略も、いまだに当否が問われる戦略変更だったと思います。
こうしたことをたくさん知っていると、プレゼンの質疑応答のときなど箔が出ていいですよ。
☆マット・ヘイグ著、田中洋・森口美由紀訳『あのブランドの失敗に学べ!』(2005年)ダイヤモンド社
あのブランドの失敗に学べ!